公人屋敷(旧岡本邸)

 江戸時代、三塔十六谷からなる延暦寺の堂舎・僧坊に所属し、僧侶でありながら妻帯と名字帯刀を認められた公人(くにん)と呼ばれる人たちがいました。彼らは里に坊を持ち、比叡山の治安維持や寺領からの年貢の徴集、全国の大名などからの寄進の管理、必要な物資の供給、人足の手配などを行い、延暦寺の運営などを陰で支えた人たちです。
 その坊の殆どは近年の生活様式の変化により、原型をとどめないほど改装されましたが、公人屋敷(旧岡本邸)は旧状をよくとどめ、全体として社寺関係大型民家の特徴を示しています。地域の歴史的遺産の保存を目的に、家屋の一部を岡本家より大津市に寄贈された後、修復し、平成17年には主屋、米蔵、馬やの歴史的価値が認められ、大津市指定文化財(建造物)となりました。 公人屋敷を訪れると、当時の公人たちの暮らしぶりを知ることができます。