境内案内

西教寺

 比叡山東麓、坂本地区の北方、琵琶湖を望む高台にあります。境内には豪壮な本堂と客殿、書院等などが建つ中心伽藍があり廻廊で結ばれています。これを中心に伽藍や塔頭が並び、研修道場や老人ホームも建っています。

本堂(重要文化財)

 本堂は江戸時代、元文四年(1739)に建立しました。総欅[けやき]入母屋造りで、欅の用材は紀州徳川家、時の徳川吉宗公から寄進されたものです。
 特に正面の欄間(十六羅漢)や須弥壇(籠刻)はすべて欅の素木造りで豪華な彫刻を織りまぜ、江戸初期の特色を表す豪華な装飾が施されています。

本尊阿弥陀如来坐像(重要文化財)

 内陣正面の本尊は丈六の阿弥陀如来像(藤原時代・定朝様式)です。これは、甲賀郡の浄福寺から移されてこられ、坐像の仏像がお立ちになられると一丈六尺あるとのことで「丈六[じょうろく]」と呼ばれています。

客殿(重要文化財)

 安土桃山時代の後半、慶長3年(1598)に客殿が移転されました。伏見城の旧殿で、大谷刑部吉隆の母、山中長俊守内室により寄進されたものです。杮葺の屋根は重屋根、南面を入母屋造、北面を切妻造とし、桁行十二間、梁間八間の大きなもので、質素で落ち着いた桃山様式を今に伝える数少ない建物です。別名桃山御殿といいます。

客殿内部/薬師如来坐像(重要文化財)

 二列に配置された室は、鶴の間、猿候の間、賢人の間、花鳥の間、上座の間、茶の間とあり、各部屋の襖絵などには狩野派の絵が描かれています。賢人の間内仏には京都法勝寺伝来の秘仏薬師如来坐像(重文)が安置されています。

客殿庭園

 客殿の裏には小堀遠州作の客殿庭園があります。裏山の急傾斜の山畔部を巧みに利用し、丸刈角刈の小刈込を駆使した観賞庭園です。中央の池泉は琵琶の姿を取り入れた瓢型で、山畔の下部と池泉との間に小丘坡を築いた二つの石組で構成されています。 初夏の新緑、さつきの咲く頃、秋たけなわの紅葉、冬の雪景色等は特に素晴らしい眺めとなります。

明智光秀ゆかりの史跡

 天正年間に大本坊が再建されたときの「天正中明智公所造古木」が今も残されています。
 現在の総門は坂本城の城門を移築したもので、鐘楼堂の鐘は城の陣鐘でした。
 天正10年(1582)にこの世を去った光秀は、6年前に亡くなった内室・熙子[ひろこ]とともに一族の墓に祠られています。

二十五菩薩来迎像

 天正12年(1588)幼くして亡くなった娘の往生浄土を願って、富田民部之進が建立したと伝えられます。各々の菩薩は違う楽器を持っています。