門前町
里坊と穴太衆積みの石垣のまち、比叡山坂本。
比叡山上で修業を続けていた僧が、高齢となって山麓(里)に賜った隠居所を里坊と呼びます。
道路に面して門を構え、穴太衆積みの石垣と塀もしくは生垣に囲まれ、広々とした庭園(10箇所が国の名勝に指定)があり、建物は奥に置かれています。
50余りの里坊の町並みは、堂・本殿・灯籠・鳥居・道標・樹木・小水路などを含め、門前町坂本の豊かな歴史的景観を作り出しています。
自然石を巧みに組み上げ、堅牢無比の石積みを造る坂本の石工集団「穴太衆」。
彼らが歴史の表舞台に立つのは戦国時代のことです。
延暦寺の造成や坂本の歴史とともに技術を磨き、安土城をはじめとする城郭や寺院などの建築で、大いに活躍しました。
坂本の参道の左右では、穴太衆がいまに残した驚くべき技法を、間近で目にすることができます。
石積みのもたらす趣は、新緑や紅葉の彩りを受けていっそう深まります。
これら坂本の里坊群と門前町は、文化庁により「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。
比叡山延暦寺
伝教大師最澄が開いた天台宗の総本山です。
開創以来1200年以上灯り続けている「不滅の法灯」は「油断大敵」の語源にもなりました。
標高848メートルの比叡山全体を寺域とし、根本中堂を中心とした東塔、釈迦堂を中心とした西塔、円仁によって開かれた横川の3地区に分かれています。
数多くの国宝や重要文化財を有し、世界文化遺産にも登録されています。
杉木立の生い茂った境内は天台宗修行道場として厳粛な雰囲気をたたえつつ、春の桜や初夏の新緑、秋の紅葉など豊かな自然を楽しめるほか、京都市街や琵琶湖を一望する絶景スポットとしても人気があります。
日吉大社
全国に3,800社余りある「山王さん」の総本宮。
平安京の表鬼門にあたる場所に社殿があり、平安時代から都の守護神として、また比叡山延暦寺の護法神として信仰を集めてきました。
神の使いの猿「神猿(まさる)」は、「魔が去る」「勝る」に通じる魔除けの象徴として大切に扱われ、お守りやおみくじ、絵馬などにも描かれています。
広大な境内には国宝の東本宮・西本宮の本殿をはじめ、日本最古の石橋といわれる日吉三橋など重要文化財も数多くあり、境内全体が国指定の史跡となっています。 4月12日~14日に行われる「山王祭」は湖国三大祭の一つ。
滋賀県屈指のもみじの名所としても有名で、秋は紅葉のライトアップが行われるほか、夏の青もみじの美しさにも定評があります。
西教寺
聖徳太子により創建されたと伝えられる天台真盛宗の総本山。
久しく荒廃していましたが、 室町時代に慈恵大師良源上人によって復興され、その後、真盛上人が堂塔と教法を再興して戒律・念仏の道場となり、現在に至るまで絶えることなく念仏が唱え続けられています。
総欅造りの荘厳な本堂には重要文化財の丈六の阿弥陀如来が安置されているほか、伏見桃山城の宮殿を移築した客殿には狩野派の人物・花鳥襖絵も。
また、裏山の傾斜を巧みに利用した小堀遠州作の客殿庭園など、趣の異なる4つの庭園があり、新緑や紅葉など四季折々の自然を楽しむことができます。
比叡山焼き討ちで焼失した後、明智光秀が復興に尽力したことから、境内には光秀の妻熙子や一族の墓所もあります。
旧竹林院
比叡山延暦寺の高僧の隠居坊「里坊」の一つ。
約3,300㎡の庭園は、八王子山を借景に築山や大宮川の清流を取り入れた曲水・滝が配され、国の名勝に指定されており散策を楽しむことができます。
紅葉や桜の季節、庭木や苔の緑が鮮やかな初夏など、四季を通じて美しいたたずまいに心癒されます。
主屋に置かれた座卓に映り込んだ庭を写すリフレクション撮影が、最近SNSで人気を集めています。
公人屋敷
江戸時代に妻帯と名字帯刀を認められた延暦寺の僧侶「公人(くにん)」は、治安維持や年貢・諸役を収納する寺務を努めていました。
公人屋敷「旧岡本邸」は、内部が改装された住居が多い中、往時の姿をよくとどめていて、公人の暮らしぶりを今に伝えています。
主屋は江戸時代後期に建築されたもので、その他米蔵・馬屋などが当時の趣のまま残されています。
江戸時代広く通用した「寛永通宝」は、江戸と坂本で鋳造が始まりました。
「坂本銭」と呼ばれ展示されています。
坂本観光案内所
・電動自転車レンタル
・コインロッカー(利用は営業時間内のみ)
・御城印頒布
律院
律院は、かつて松禅院と呼ばれた比叡山横川の総里坊でした。
穴太衆積みの石垣に囲まれ、叡山苔に覆われた池泉回遊式の見事な庭園を有します。茅葺きの四阿や、巨石を掘り抜いた手水鉢は素晴らしく、見飽きることのない名園です。
本堂は桃山時代、豊臣秀頼の兄で早世した鶴松の菩提を弔うため、淀君が建てたといわれます。
本尊は釈迦如来で、格天井の絵画からは当時の豪華絢爛さの片鱗が伺えます。
平成5年に信者様のご協力で完成した総欅づくりの護摩堂には、本尊の不動明王が祀られ、三代目現住職叡南俊照大阿闍梨によって、毎朝、護摩供が勤められています。
境内には弁財天をお祀りする池もあり、庭園や本堂を彩る四季折々の花木が、ご参詣の方の目と心を和ませています。
滋賀院門跡
天海大僧正が1615年に京都北白川の法勝寺を移転したものといわれ、江戸時代末まで天台座主を務めた皇族代々の居所であったことから高い格式を誇る寺院です。
広大な敷地は穴太衆の石積みの石垣に囲まれ、書院では江戸時代初期の狩野派による数多くの障壁画を楽しむことができます。
小堀遠州作とされる国指定名勝庭園は石組みや植栽、滝や石橋が見事な庭園で、宸殿の縁側からゆっくり鑑賞することができます。
生源寺
伝教大師最澄が生まれたとき産湯の水を汲んだという井戸があるほか、本堂には最澄の父母の尊像も祀られています。
最澄によって開山されたと伝えられ、比叡山延暦寺の中でも特別な霊地と崇められ、各種催事の多くもここで行われます。
毎年8月18日に盛大に「伝教大師御誕生会」が営まれます。
坂本比叡山口駅近くにあり、坂本の聖地ともいえる場所です。写経体験もできます。
慈眼堂
比叡山焼き討ちの後、徳川三代将軍に仕え、復興に尽力した慈眼大師天海の廟所です。
境内には、江戸時代以降の歴代天台座主の墓があり、徳川家康や紫式部、清少納言の供養塔もあります。
日吉東照宮
東照宮造営に縁の深い天海上人が天台宗の僧侶であったこともあり、元和9(1623)年徳川三代将軍家光公の時に造営されました。
本殿と拝殿を繋ぐ「権現造り」という様式を用い黒漆塗りで極彩色の豪華な装飾が施されています。
この様式を基に日光東照宮が再建されたといわれています。
社殿のほか唐門と透塀が重要文化財に指定されています。
「関西の日光」とも呼ばれており、高台の境内からは四季折々の樹木と琵琶湖が望めます。
八講堂千体地蔵
八講堂跡から紅染寺跡にかけて、大小様々な地蔵尊が散在しており、比叡山に入山することのできない一般の民衆が、手ずから造って祀ったと考えられています。
近世になって、界隈の田畑に鍬を入れる度に、多数の地蔵尊が地面から出てきました。
それらの像が、いつともなくこの場所に集められ、八講堂千体地蔵と呼ばれるようになりました。
盛安寺
穴太の地にあり、桃山御殿の異名をとる客殿に、井上靖の小説『星と祭』に登場する木造十一面観音立像が安置されています。
聖衆来迎図を表現したという江戸時代の庭園、明智光秀の陣太鼓などがある天台真盛宗の寺院で、穴太衆積みの石垣はまるで城郭のように見事な石組です。
最乗院
最乗院は平成14年に延暦寺一山寺院として落慶し、開かれた新しい寺です。
眼下には南琵琶湖が一望できる風光明媚な場所に建っております。
本尊様は阿弥陀如来様で皆様の極楽往生を願い、また先祖の供養回向を修しております。
また祈願の仏様として聖天様をお祀りしております。
聖天様には皆様の諸の厄難を払い、種々の祈願をして成就を願っております。
皆様が気軽にご来院されてお茶を呑みながら世間話をし、また悩み等の話をしていただける場所として努めております。
坂本ケーブル
昭和2年に敷設された、坂本と延暦寺を結ぶ日本最長(2,025m)のケーブルカーです。
2つの途中駅のほか橋梁やトンネルを通り、素晴らしい眺望を楽しみながら山頂へ至ります。
途中の「ほうらい丘駅」には建設時に発見された石仏を納めた霊窟が、「もたて山駅」には『土佐日記』を綴った紀貫之のお墓があります。
レトロな雰囲気の駅舎は、大正14(1925)年築の洋風木造2階建てで、国の登録有形文化財となっています。
奥比叡ドライブウェイ
比叡山延暦寺の横川・西塔・東塔の三エリアを巡ることができる参詣道路です。
歴史を辿りながら四季折々の自然を感じることができます。
また西塔エリアの「比叡山峰道レストラン&展望台」では、眼下に坂本の街、そしてびわ湖の絶景と近江富士など山々を一望することができ、地産地消にこだわった御膳やスイーツなどが充実しています。
春の桜と秋の紅葉の景色は素晴らしく、四季それぞれに楽しめます。
坂本城址
明智光秀が湖畔に築いた坂本城は、琵琶湖の水を引き入れた水城で、高層の天守閣と連なる小天守閣を擁した壮大なものだったようです。
イエズス会宣教師フロイスは「信長の安土城につぎ明智の城ほど有名なものは天下にない」と讃えています。
光秀像のある城址公園が整備され、二の丸跡にある石碑と湖中に残された石垣が、かつてここに城が築かれていたことを伝えています。
琵琶湖が異常渇水となったとき、堅牢な石垣が湖面に現れ面影を見ることができます。
手打蕎麦
鶴㐂
創業以来300年以上にわたり、こだわりの手打ちそばを受け継いでいます。
坂本を散策したのち、国の登録有形文化財でもある建物で食するそばは格別です。
名勝のお食事処・喫茶
芙蓉園本館
国の名勝庭園を見ながら…お食事を
ちょっといっぷく
甘味処・手づくりの品
うえだ
手づくりのお土産と甘味を提供するお店。
ぜんざい、わらび餅が好評です。
京阪電車坂本比叡山口駅すぐの所。
お帰り前の立ち寄りに便利です。
カフェ
比叡三九良
比叡三九良は蓬餅の専門店です。
ふっくらと蒸しあげた羽二重餅と若葉の春摘みヨモギを使用して、香り豊かな蓬餅を一つ一つ丁寧に手作りしています。
また、健康のために甘さを控えめにした小豆の「こしあん」ときな粉を使用し、さっぱりとした一品に仕上げております。
中国料理
登煌
登煌では大津で広東料理を気軽にご賞味いただけるよう料理人が美味しさを伝承したまま、日本人向けの味付けとなっております。
お子様から年配の方まで幅広いメニューでお待ちしております。
蕎麦・甘味処・お土産
大杉茶屋
大杉茶屋は日吉大社前(旧竹林院東隣り)にあるお食事処です。
蕎麦やおぜんざい、甘酒等をお召し上がりいただけます。
名物「五猿焼(ごえんやき)」の他、近江の土産物や地酒も多数取り揃えております。
定食屋
末廣
坂本観光のお昼に、昔懐かしい味わいの丼ぶり、おうどん、定食はいかがですか。
自慢のふわとろ親子丼や、彩り豊かな鍋焼きうどん、優しい味わいの中華そばも人気です。
京阪坂本比叡山口駅から徒歩1分、坂本観光案内所の真正面、円い窓が目印のお店です。
日吉大社
湖国三大祭 山王祭
4月12・13・14・15日 1200年以上も続く日吉大社の例祭で、3月の第一日曜から始まり、4月12日には「午の神事」、13日は「花渡り式」や「神輿振り」で有名な「宵宮落し」、14日は東本宮、西本宮それぞれの例祭の後、まちを神輿が練り歩き、さらに湖上を渡る「船渡御」が行われます。
【山王祭 紹介動画】
https://www.youtube.com/watch?v=DAqYX8U6tJA